15.ホームステイを出てフラットへ・・・
ある朝しかも7時前、突然ステイ先に電話が掛かってきた。
ヘレンが「ダイ電話だよ。」と言って部屋のドアをノックする。
ムクッ。「……(数秒意識が飛ぶ)…OKすぐ行く。」
”誰だよっ、こんな朝早くからっ!!”
寝ぼけながら電話に出るとその電話の主に
「来週から働きに出てくれ」と言われた。
何だか頭は回ってなかったけど2週間ほど前に受けた日本食レストランからのようだった。
オレはようやく事態を把握し大声で
「ありがとうございます!!Sir.」と答えていた。
後でわかったんだけどその声の主は女性オーナーだった。
(かなり声が低かった。)
…最初から好印象を与えた。・・・
働き出してすぐロウ家を出る事になった。
新しい学生が入ってくるからだ。
しばらく家探しで色々回ってみたが結局サッカーで一緒だった
ヒデの家を紹介してもらった。
彼は西のパースというところに移り住むらしかった。
そこはホームステイの離れで、その家のお爺さんと
韓国人女性が2人住んでいた。
部屋はオレだけ2階で大きなベットと天井からファンが付いていた。
週80ドル(当時4800円程)でいいとの事だった。即決だった。
ロウ家を出る日、ヘレンが車で安いスーパーに寄ってくれて
これからの1人暮らしで必要な物と知識を教えてくれた。
別れの際、ちょっと泣きモードに入るのを覚悟していたけど
新しいフラットはロウ家から車で10分のところにあったので
「日曜日は仕事休みでしょ?顔を出しなさいね」とあっさり言われた。
なんだか嬉しかった。
実際、その後もパーティや外出の時は、車で迎えにきて
色々連れていってくれた。
そこでも色々なオージーに出会ったがここでパーティの小話をひとつ…
・・・・・
その日は近くにあるギャリーの友人のパーティに招かれていた。
いつものように自分が飲むビールを買い参加した。
一通り話が終わった後ガレージにプール(ビリヤード)台があるというので
ギャリーとその家の主人、対オレともう一人の若い日本人で2対2の対決をした。
オレは自信満々で臨んだが、オヤジ2人はかなりうまかった。
ミスは全くと言っていいほどしなかった。
こっちが1つも落とさない内に、あっという間に8番ボールが落とされた。
するとギャリーとその友人は突然騒ぎ出した。
オレらは何が起こっているのか分からなかった。
するとギャリーが意地悪そうな顔で言った。
「オーストラリアでは自分のボールが1つも落とせないで負けた場合は
自分の…ピー…を台の上に乗っけなきゃいけないんだよ…
分かるだろう。これ、」と下半身を指差した。
なんじゃそりゃ。聞いてないぞそんなルール!!
もう一人の若い日本人はちょっとあせった感じでオレに救いの目を投げかけてきた。
オレも同じ様におふざけが過ぎてるギャリーを叱ってもらおうと
母親ヘレンに助けを求めようと見上げると・・・・・。
ニヤニヤ・・・・・・
母ちゃん。何なの?
そのデンジャラスな眼差し?…
……”ヤバイ。ヤバイでー。こんなとこで
ジャパニーズ・ウタマーロをさらけ出す訳にはいかん。”
ここはシャレで通すしかない。
ベタでもいい。と思って苦し紛れに言葉が出た。
「オレ達の・・・ピー・・・は
こんな台に乗りきるサイズじゃないぜ。・・・・
もっと大きい台を用意するんだね。」
アメリカンジョークっぽく言った。
反応が怖かった。
・・・・
・・・・
大ウケだった。
こんなベタで笑ってもらえるとは…
とにかく危険を回避できたのはいいけど
自分で言っててそんな大ウケする程おもろいかー?とギャップを感じた。
っていうか失礼だわ!!!
……オレ、脱いだらスッゴイんだぞー。……
肉の付き具合がですか?
とにかくオレも相棒も(日本人の彼って意味です。…意味取り違えないようにっ)
とりあえずホッとした。
ロウ家と新しいフラットメートたちと。