29.シドニーの休日。ため息の日曜日
土曜日のサッカーの試合の疲れもあって日曜日は昼前まで寝て
学校の宿題をやったり当番制で20kgの米を買いに行ったり全員の洗濯物を干したりした。
それからよく1人でシドニーの町をブラブラした。
特によく行ったのはチャイナタウンとロックスだ。
チャイナタウンは毎週日曜日に大きなフリーマーケットがあり何も買わなくても十分楽しめた。
怪しげな人々がとにかく怪しげな品々を売っていた。
アホみたいに安いTシャツや民族衣裳、遠目で見るとブランド物の品が
近くで見るととんでもないモノだったりする。
オレの好きなハーレーグッズだと思って喜んで見てみると
ハールーと書いてあった。
思いきりパクリだった。
苦笑いしながらも一人で楽しめるマーケットだった。
そしてこのチャイナタウンによく通ったもう一つの理由はもちろん中華料理だ。
と言ってもいつも行く店、注文は決まっていた。
そこは屋台を集めた建物で中華料理に限らずベトナム、タイ、韓国、
そして日本と様々なアジアの屋台が並んでいた。
どれもA$5前後と良心的な値段だった。
最初のうちは色々試したけど中でもある小さな屋台が出す
マーボー豆腐は最高だった。
豆腐とひき肉の他にもシイタケの刻んだやつも入っていた。
ボリュームもあったし、辛さも怪しい香辛料で自分で調節できた。
なぜか妙にハマってしまい町に出るとよく寄るようになった。
一方、ロックスはとても綺麗な町でまだ見たことのないヨーロッパの町並みを感じさせた。
(実際、その後仕事で訪れたドイツやイタリアはもっとスゴイかった。なんちゃってとはやっぱり違う。)
表通りには観光者向けにブランドショップも多くあったが裏通りに入れば入り組んだ細い石畳の通路、レンガ作りの建物に秋の落葉樹。
なんだか妙に人恋しい気分にさせた。
(ローカルのカップルがこれみよがしにイチャついてたし…)
観光客の目立つ表通り
ローカルが多い裏通り
エリザベスブリッジが下から見える場所にはオープンカフェがたくさん並んでいた。なんか大人の町って感じだった。
ここでも毎週日曜になるとオープンマーケットが開かれた。
チャイナタウンと違いこっちは芸術系の品やアクセサリーなんかも多かった。
見てるだけでかなり楽しめたがなぜかある日曜日、勢いあまって買い物をしてしまった。
シルバーにターコイズがはめ込まれたブレスレットにチェーンでリングがつながっていた。
こんなん見たことないぞ。何コレッ。
しばらくは珍しがっていたが30分後にはそれを付けて通りを歩いていた。
なんなんでしょう?めっちゃくちゃ欲しかったってわけでもない。
その頃は何かを買うことはほとんどなく買うとしても生活必需品だけだった。
何かが欲しかったんじゃなく何も買えないことがとうとう爆発しちゃったみたいだ。
それでもA$60くらいだったんだけど後で結構後悔した。
バカだねえ…
この当時、ミスチルの”ため息の日曜日”をよく口ずさんでいた。
切ない歌だよなー…これ。