英語学習の誤解② 英会話くらいできるようになりたい。
ぶった斬りアンサー ⇒ 英会話は英語学習の最高峰。ビジネス英語など専門英語の方がはるかに簡単。
「仕事で英語を使うのはハードル高いけど、英会話くらいはできるようになりたい。」
英語を学習し始めた人からよく聞く目標です。
まず「英会話」って何なんでしょうか?海外旅行先のレストランで英語で注文できた!というレベルで満足するのであれば、ガイドブックに載ってるフレーズをいくつか覚えておけば、その程度の意思疎通は簡単にできるようになるでしょう。
でも、そこが目標ではないですよね?
「英会話」が成立するための要素には以下のようなものがあると思います。
- 相手の言っている英語が聞き取れて正しく理解できる
- それに対して自分の意見や答えを英語で適切に伝えることができる
- 知りたい情報を聞き出すために英語で質問ができる
そうです、会話ではコミュニケーションを取れることが必要不可欠なので、「双方向」であることが重要なんです。言いたいことを英語で言う(アウトプット)だけなら比較的簡単に一定レベルまで到達できますが、多くの英語学習者は最初のポイント「聞き取れる、理解できる」というところでつまずいて諦めてしまっているのが現状です。海外に長年住んでいても、いや、逆に長く住んでいればいるほど、これら全てのことが満足にできていると自信を持って言える人って少ないんじゃないでしょうか。
一方で、日本ではビジネス英語って「英会話ができるようになった後の上級ステップ」というイメージが浸透してます。今までの経験上、これってどちらかというと逆なんじゃないかと思うんです。
仕事だけでなく学校の専攻でもそうですが、自分が得意としている分野や慣れ親しんだ分野って日本語でバックグラウンドを持っているので、それを英語で使えるレベルにするのは考えられている以上に簡単です。ITなど業界によってはすでに横文字だらけの職場もあります。興味がない時事問題などを英語で読んでも全く頭に入らないのに、仕事上の調査や大学の論文などのために、英語圏で書かれた資料や文献を読むとほぼ理解できる、という経験をしている人も多いんじゃないでしょうか?
僕はニュージーランドの現地IT企業に勤め始めて4年以上になりますが、実は未だに一番苦労してるのは仕事に関係ない雑談、つまり英会話です。仕事で使う英語なんて決まった専門用語が繰り返し出てくるだけだし、メールなど書かれた文章でやり取りすることも多くその場合聞き取る苦労はないし、業務の流れがわかってるので次に何を聞かれるのかもほぼ予想の範囲内で、こういう状況でコミュニケーションをなり立たせるのはなんとでもなります。
でも、雑談で話しかけられる内容は何でもありなので予想するのが難しいんです。ルールも選手も知らないラグビーの話だったりマフィンの焼き方だったりDYIの話だったり、その国独自の文化がトピックになってるとそれを知らない外国人には単語が8割方馴染みのないものだったりして、何を質問すればいいかすらわからない時だってあります。
英語を使えるようにするためにはインプットとアウトプット両方が重要ですが、どちらも英語に晒されている絶対的な量が必要です。この時、せっかく専門的な知識を持っているのにそれを後回しにして「まずは会話ができるようになってから」と線を引いてしまうのは非常にもったいないことです。得意分野の方が英語に触れやすい環境にあるのであれば、ビジネス・学術英語から先にものにしてしまう、というアプローチも考えてみてください。得意分野で培われた「英語に対する慣れ」は英会話などカジュアルな場面にも後々必ず活かされてくるはずです。
また、このことは英会話かビジネス英語か、という括りだけでなく、英語学習全般についても適用できる考え方です。つまり、好きなことや得意な分野から英語に入っていく方が、興味がなかったり苦手な分野を「勉強だから」と思って仕方なくやるよりも習得が断然早いんです。偏り大いに結構。好きなことに偏ることで英語に使える時間を増やせるのであれば「広くいろいろな知識を」なんてつまんないこと考えず、トコトンその道を極めてみてください。