13.初めての海外就活。そして、みんな居なくなった・・・・
年が明け、オレは仕事を得る為に12月まで通ってた学校で
今もまだ通ってるような顔をしてPCで履歴書を作りスーツを着てチャイナタウンを歩き回っていた。
とにかく店に片っ端から入って”バイトさせてくれ”を繰り返していた。
「英語よりも中国語ができないとダメ」
どの店でもそう言われた。
ヘレン(ホームステイマザー)に仕事を探すならチャイナタウンと言われて回ってみたけど一向に前に進まなかった。
”まあね、そう簡単には行かないだろう…”
何の収穫もないまま町に戻ってみるとニコルたちがいた。
オレの髪型とスーツ姿を見て皆が「どうしたの?そのカッコウ」と聞いてきたが
彼女だけは「ヤクーザ、ヤクーザ」と言っておもしろがっていた。
やけに彼女の荷物が多いのでどうしたのかと思ったらその日シドニーへ移るということだった。
ビックリした。
ダイアンは何時の間にか知らない男とふおりん・らぶして
どこかに行ってしまったし、また友達が旅立とうとしていた。
そういえばダイアンはあんなにスイスに残してきた彼に会いたい会いたいと言ってたのに
あっという間に口の上手いイタリア人とできちゃってた。
”遠く離れてしまうってのは怖いことだねえ”と他人事みたいに感じてた・・・・
アヌークはそれを見ながら渋い顔をしていた。
彼女がスイスフレンチトリオで一番若かったのに一番シッカリ者だったように思う。
まあそんな下世話な話はさておきもう一つの別れが訪れた。
ジンがシドニーに行く日が来た。
あの日、オレが一緒に行けないと話して以来、オレと彼の関係は微妙に変わっていた。
やっぱり”裏切られた”という思いがあったのかもしれない。
距離が変わっていた。
だからオレは最後に皆が長距離バスが発車するトランジットセンターに
見送りに行く時も、なんだかオレ行っていいのかなという感じだった。
最後、皆が涙してる間も絶対泣けないと思っていた。(普段は涙腺が弱い。)
彼は珍しく真面目な顔をしてバスに乗り、そして消えて行った。
オレらは取り残された。なんだか妙に寂しかった…
そのバス亭を離れた。
オレは先頭に立ち、急ぎ足でそこから離れた。。アヌークが隣にいた。
気付くと「あいつはあほだった………。
でもいいやつだった。」というようなことを呟きながら泣いてた。
アヌークはびっくりしていた様だった。
でも涙が止まらなかった。
皆居なくなっていった・・・。