7.毎日がハッピーアワー
俺の住んでいたAnnerleyという町からバスで20分程の丘陵地域にあった。
バス停からホームステイの家までは下り坂で10分程あったので年甲斐もなくスケボーで下って帰っていた。
ある日、酔ったままバス亭から家までの坂道をいつものようにスケボーで滑っていた。
気分は上々で鼻歌を歌っていた。
「♪・・・I’m a barbie girl. in a barbie world….」
こんなオヤジバービー嫌だ。
道の途中で何かが光った。
何だあ?と思っているうちに・・・気付くと派手に転んで肘に怪我していた。
消火栓のフタみたいだった。
最後に頭も打った。ヤバイと思った。
でも何事もなかったようにすぐ立ち上がらなければならなかった。
近くに人がいてこっちを見てるのがのが見えたからだ。
恥ずかしいのでぜんぜん痛くないよって感じですぐ立ち上がって涼しい顔で歩き出した。
そして相手が見えなくなった瞬間にしかめっ面でヒーヒー言いながら帰った。
ミニコントのようだった。
渋い顔のまま家に着くとホストファザーのギャリーが「どうした?」と言って急いで手当てしてくれた。
オヤジイー(涙)。
その広い胸に抱かれてもいいと思った。
「ダイ、こないだも酔って歌いながら帰って来ただろう。遠くから聞こえたぞ。歌うまいねえー」
とニヤニヤするギャリー。
えっ聞こえてたの?やばー……(沈黙。)
「ごめん・・・・・・ええっと・・・・・。日本の先生がオーストラリア行っても歌のレッスンだけは続けろって……」
どこの、何の先生だよ!。連れてこいっ!!
3日くらいは酒を控えようとおもった。(全然反省してないな。この男)
酒にまつわる失敗はまだあった。
ある日酒を飲んで皆と分かれてバスに乗りこんだ後、寝過ごして真っ暗のとんでもない所で一人きりになった。
本当に真っ暗だった。
やばいこれはピンチだ。と一気にシラフになった。
辺りには宅配ピザ屋の明かりだけが見えた。
そっちに近づく。誰もいなかった。叫んでみる。反応はない。
参ったなあ…もう一度バスのロータリーに戻る。
んっ?向こうにバスっぽいのがいるなあ。
最後の願いを込めて近づく。たのむでー。
いた。バスの運転手はいた。眠たそうな顔でこっちを見る。
ゆっくりとできるだけ丁寧に説明してみる。
「迷っちゃたんですけど……」
30分後僕はいつものベットで眠りに就こうとしていた。
バスのうんちゃんの反応はあっけないものだった。
「いいよ。乗っていきな!ワシも町に戻るだけだし…」
あんまり簡単に言うので力が抜けてしまった。
とにかく助かった。バスが動き始めてしばらくしてようやく安心した。
なんだか名刺までもらって、”なんかあったら連絡しろ”とも言ってくれた。
この当時、嫌なオージーも結構見てきたのでなんだかうれしい一日だった。
日本みたいな感覚でお酒を飲んでるこの24歳の若者も10ヵ月後は2杯でフラフラになる体に生まれ変わる・・・・
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