3.語学学校-East Coast college of English-

ブリスベンには、結局4ヶ月半暮らしたことになる。
なんでこの町を選んだのかよく覚えてないけど知らない地名に行きたかったというのはあったと思う。
町はそんなに大きい方ではないけどクイーンストリートというメインストリートに行けばカフェ・デパート・レストラン・スーパー他、何でもあった。
また、その後しょっちゅう通うことになるサウスバンクという公園内の人工プールみたいなものやBBQ設備なんかは学生の他オージー達の溜まり場だった。
またロウ家の家族なしにこのブリスベンの楽しい日々はありえなかっただろう…
語学学校入学の日、初日ということでホストファザーのギャリーが
学校まで車で送ってくれた。
そして意気揚揚と高層ビルの入口に入っていったのだけど一向にその学校が見つからない。
「おかしいなあ。確かにこのビルの一階って書いてあるんだけどなあ…」
と思いパンフと壁のボードを見比べた。
あれっ?チョット待てよ。ここGRANDって書いてあるぞ。
そう、この国では一階の前に”グランド”というのがある。
日本で言う2階がこっちの一階に相当する。
オーストラリア。…昔見たCM通り、正にびっくりの国だなどと一人で頷いた。
気を取り直してエレベーターに乗り、ようやくその学校にたどり着いた。
そこは学校と言うより小奇麗なオフィスという感じだった。
その受付ロビーに入って初めに驚いた事が日本人の多さ。
うわーマイナーな所を選んだと思ってたのにー
しかも女の人ばっかり、ぜんぜん男いないじゃん。
まあ、しょうがねーなあー……Lucky!!
そしてその受付のロビーの人ごみを見渡していると、やはり同じ様になんか居難そうにしている日本人らしき男2人を見つけた。声を掛けてみた。
「やっぱり?オレらもちょっと居難かったんよ」
ジンとミツと二人は名乗った。コテコテの関西人みたいだった。
キャップにバックパックに大きなヘッドフォンにブランドシャツ。
うわーコテコテの今日びの子だな。という印象だった。
彼らは2人共大学生だった……。
話題を変えることにした……。
ちょっブルーになった…。
その後、学校の先生の紹介やら課外活動の話が始まった。
50人位その部屋に居ただろうか。改めて見渡してみる。
確かに日本人女性は多かったが、結構ヨーロッパ系の人も居るみたいだった。
なんか単純にこのパツキン外人さん達は、英語喋れないのかなあ…と違和感を感じた。
(もちろん、喋れないからこの学校に来て勉強するんだろうけど…)
課外授業の話で毎週金曜、インドアサッカーがあるというので早速、申し込んだ。
こんな事もあろうかと日本からスパイクとユニフォームを持ってきてあった。
(この国に何しに来たんだろう?この人…。)
その後、個人の英語のレベルを測る試験を受け午後からはオリエンテーションで町をまわった。
最初に知り合った日本人のジンとミツ。
それからアンディ・フグに似たスイス人リコ
(名前はかわいらしいけど髭のオヤジだ。オレより一つ上だった。)
そしてブラジル人のラファエル。(えらいガタイのイイ奴だった。)と一緒に歩いた。
オレらはたどたどしい英語で話していたんだけど、このラファエルが全然喋れなかった。
ブラジルだからサッカーの話でもしたら盛り上がるかなと思ったら
「ヤラナイ。」の一言。
「えー、じゃあなんでそんなにガタイいいの?」とオレ。
なんとなく理解したらしく目を輝かせて”グレイシー・ジュージツー(柔術)”
とのたまった。
………はっ????(一同)
「マジかよー」とおれら。
更にご機嫌になったの「オレハ19サイ」と呟き
また「マジかよー……」とオレら。
どう見てもおまえ30ズラだぞ……とは言わなかった。
彼はこの後、学校の地下にトレーニングジムがあるのを見つけ
大喜びでその足で6ヶ月分の使用料を払った。
何しに来てんだコイツ?と思った。……人のこと言えるか!?
リコはニコニコしながらオレらの話を聞いていたけど引率者が「ここがウチの学生が良く使う”JOJO’S”というカフェです。」と言うとキラリと目を輝かせ、早速今日行こうとオレらを誘った。
後に彼の酒豪ぶりに皆が手を焼かされる事になった…
左がスイス人リコ、中央がブラジル人ラファエル
オリエンテーションの集団の中に引率者に熱心に色々尋ねている足の長ーい金髪ネーさんが二人いた。
(正確にはブロンドじゃないけど…)二人とも間違いなく175cm以上ありそうだった。
腰の位置を見て隣に並ぶのは止めておいた。
危険だ!!自殺行為だ。
スタイルいいなあ。…何食ったらあんなんになるんだろ。と訳の分からない事を考えていた。
とても大人の女性に見えた。少なくともオレよりは年上だろうと思った。
この時までは…
まさかこの時のネーさん2人があんなアホアホだったとは・・・
この時はまったく知らなかった。