28.Pool Barで何を突く?!
仕事でモヤモヤが溜まっていたので?!仕事を終えるとコーヘイBとよくビリヤードにいった。
彼はオレの入るほんの数日前にこの工場に入居してきたらしい。
ボソボソと喋る元気のない19歳だった。
他の皆とはあまり馴染んでない様子で最初からオレと話をすようになった。
(他のシャアメイトはこの頃ほとんど働いていて会う機会が少なかった。)
オーナーのノールは、最初オレらが「ビリヤードやりたいんだけど、どこか知らない?」と聞くと
「駅の近くのバーは危険だから行くな」と言った。
オレらは色々なプールバーを回ったが打てる所がなくて歩き回った挙句
結局禁止されていたそのバーに入ってしまった。
ビールが飲めるカウンターに薄暗い照明、ユーロビートじゃなくカントリーっぽい
音楽。
なぜか入口の近くにダンスステージが設けられていた。
なんだ。全然どこにでもあるプールバーじゃん。
プール台も3台あって1台空いていた。
N.S.W.州のビールToohysを飲みながら打った。
そのうち色んな国の奴らがオレらからたかろうと2対2の勝負を挑んできた。
やはりアジア人が多く国籍不明な人も多かった。
退役軍人やらどう見ても怪しげな商売をやってそうなおっちゃんもいた。
実際、汚い格好で目を真っ赤に充血させながら金くれーという
汚いオッチャンにはさすがに引いた…
Bは凍りついて閉口してしまった。
オレは口では真顔で「金は全然ない」と言いながらも
下の口はチビりそうだった。…下品。
(絶対アンタ3人くらい殺してるだろー?!その目。)
日本人だとわかると大抵の奴は金をせびろうとした。
だから”オレらとても貧乏で哀れな日本人”と説明するのがこの店での口癖になった。
実際、日本人だって言うのよそうかと思ったくらいだ。
彼らにしてみりゃJAPANESEって、やっぱまだそういうイメージなのかねえ?
何かいいのやら悪いのやら…
ここでは仕事がうまくいかない日ほどミラクルショットが炸裂した。
1度に4つ同時に玉を落とすなんて日もあった。手玉(自分の玉)含めて…
全然ダメじゃん。
そんなこんなでこの店にはよく通った。
でもオレらが危ないと感じていても離れられない大きな理由が他にもあった。
それはある週の木曜日のことだった。
いつものようにBと打ちに来てみるとやたらいつもより
客の入りが多かったので何だろう?と思いながら打っている時だった。
ジャーン。
いきなり大きな音で音楽が鳴り始め男共がシャウトしだした。
おーい。どーしたん?みんな壊れちゃったの?何があるとい.……
キンキラの服来たネーちゃんが音楽に合わせて踊り場にやってきた。
…ちょっと期待した。
何かステキなことが起ころうとしてるんちゃう?
皆食い入るように一点を凝視。
・・・・
・・・・
・・・10分経過。
最後にはパンツ一丁で彼女は踊っていた。
野獣共の忘れかけていた気持ちに火をつけてしまった。
皆、玉突きなど忘れて違うモノを突・・・・・。
…めちゃ、おやじギャグ…
コーヘイBと「来週の木曜日もまた来ようなー」と堅く約束した。
…アホッ
ノールが行くなという理由がわかった気がした。
さては、たまーに来てるな?!
画像はイメージです^^