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30.綺麗好きのオバケ?!天上人と下界の人間たち

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24歳の時に1年オーストラリアでワーホリを経験。ワーホリから帰国後5年弱外資系で働くも今度は海外で働く事を目指して30歳を目前にニュージーランドでギリホリを経験。そして思いの外ハマってしまいこの地に住んで19年目。海外のマーケッターから学びながらフェイスブックグループ使ったオンラインコミュニティ運営にタ情熱を燃やしています^^
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天上人と下界?!の人間たち

 

俺らが住んでいたこの工場跡地のフラット(と呼んでいいのか?)も1階と2階ではちょっと状況が違っていた。

まず1階の部屋は前に書いたようにカラオケボックスの部屋にベットがあるだけ。

しかもこのベット、ちょっと寝返り打っただけでギシギシ音が鳴り出す始末。

ボックス状態の部屋なので当然隣の部屋に筒抜け。
大抵、隣の部屋のノリとは朝,顔を合わすと「昨夜はギシギシ激しかったね?!」
とベタベタな挨拶をする結果になった。

窓もない部屋は昼でも電気をつけてなくちゃならなかったし、部屋を出てもコンクリート作りの空洞は日もほとんど入らず冬の冷たい空気が流れていた。

 

コーヘイBはいつも昼過ぎまで寝て”なんもやるきしねえー”って感じで仕事を探すでもなくいつもボーッっとしていた。

ボソボソ喋るくせは変わらなかったが悪い先輩達のおかげで?!最初に見たときよりは随分と明るくなっていった。

なにかあるとなんの根拠もないのに必ず「余裕っすよ。」とつぶやいた。
こういうヤツ多いよな最近。なんでなんだろ?
(・・・オヤジっぽいコメント!)

一人で参考書を買ってモクモクと英語の勉強をしていた。

 

一方、コーヘイ,タクヤ、インドネシア人のカップルは普通の部屋が用意されてる2階に住んでいた。

ここは下のオレらより週10ドル高い90ドルだった。
(もちろんボックス小屋とは訳が違う、ちゃんとした部屋だ)

台所も2階にあり、後半は当番制で皆がご飯をつくった。
ブリスベンにいた頃はほとんど、肉とか野菜とかを炒めただけだったんだけどここではレパートリーが増えた。

マーボー豆腐は大好評だった。
また唯一テレビが見れるのも2階の居間(っぽいところ)だけだった。

ここは皆の交流の場だった。

コーヘイは、この2階の住人(自分たち)を”天上人”

1階の住人(オレたち)を”下界の人間”と名付けた。
まさにピッタリの言いまわしだ。

何も言い返せなかった。…チクショー!!

 

そして下界にとんでもない事件が起こった。

 

ある晩いつものように2階のミーティング?!を終え、自分の部屋に戻った。

さあ寝ようと思って電気を消したら、足の先の方で何かがぼんやり光だした。
何だアと呆然と見ていると何かの形になるように光りが集合し始めた。

おいおい。ちょっと待って。これって、もしかして….もしかして…おば○
ひえー、もう無理!!

即効で電気を付けた。

変な汗が出た。
何?何だったの今の?こっわー…

とにかく生まれて初めての経験でしばらく寝つけなかったが朝方眠りについた。

もちろん電気はつけたままだった。(へたれっ!!)

 

次の日信じてもらえないと思ったが隣のノリにその話をした。
「やめてよーダイくんオレそんなん弱いわー」と半信半疑の顔で彼は言った。

そして更に次の日…
ノリが言った。

「ダイくん…オレも昨夜、ダイくんの部屋側の方で変な光の玉見たわー…」
「うそだろ?!…オイオイ…作んなよー…」とオレ。
「…いや。マジやて…こんなんオレも初めて見た…」とノリ。

 

…本物だ…ここ”何か”居るんだ。…

 

この時点では皆おもしろ半分にこの話を聞いていたし、オレもノリも”やだなあ”くらいにしか考えてなかった。

でももっと恐ろしい事がオレの身に起こった…。

 

それは、ノリがその謎の光を見て2・3日が経った昼間のことだ。
その後は再びオレは”何か”を見る事もなかったのでと安心していた。

そして、仕事がオフだったオレは昼寝をしていた。
実際は寝ていたのか、寝つく前だったのか…

ガッ!!

体がいきなり壁の方に思いきり引っ張られた。

びっくりして体を動かそうとするがびくともしない。声も出ない。…金縛りだ。

営業マンだった頃、全然休めず疲労のピーク時に金縛りの経験はあったけど…ちょっと違う。

 

壁に引っ張られるって…何コレっ?
ちょっと待って。おれはどこに行っちゃうの?

 

怖くて目は開けられなかった。
こえー。助けてくれー!!

とにかく動かないまでも壁とは反対の方向に必死に力を入れた。

 

どのくらいそうしてたんだろう?

気が付くと変な汗でびっしょりになりながら魂の抜けたオレはベットに腰掛けていた。

 

あしたのジョーの最終話みたいな絵ズラだった・・・



実際は何を考えてずっとそうしていたのかは今だ謎だ。
本当に怖かった。

 

それからすぐ2階の居間で寝れるように寝袋を買いにいった。
(旅で使うからもともと欲しかったんだって…本当それだけだって…)

かーっちょいー!
幸いにも!?その頃フランスワールドカップが始まり夜中の中継が多かったので皆で2階の居間で寝る日が多くなっていった。

(本当にそれだけ?…)
いい大人達が寒い中、居間で寝袋に丸まって過ごす日々が続いた。

 

・・・・・・・

後日談
この話をオーナーのノールに話したらあっけなく「ああ、やっぱり出た?」とのたまった。
ハッ?やっぱりって、知ってたのかよー。言っとけよ!!

更に彼は「ここのおばけはキレイ好きだから部屋汚いと出て来るんだよ。」と言った。
あーなるほどねー…オレんとこ相当汚いからなー…

って、オイ!!何だよ、綺麗好きなおばけって…。

 

そんなA型チックなおばけ、いる訳ないじゃん!!
それは作り過ぎだぜ。騙されねーぞー。はーはっはっはっ
・・・・・

 

 

即効、部屋を片付けた…

 

もちろん昼間に。

 

➡次:31.シドニーで孤独な3バカトリオの冒険

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