34.教会の町でメルボルンで迷える男
やたら話し掛けてきた隣の座席のオランダ人もようやくオチたらしい。
やはりシドニーより南に位置しているので肌寒くセーターを着た。
セントギルド(町の中心部から車で15分ほど)。一泊12ドル、朝食付。
オレは大きいほうのバックパックを下ろすと小さい方を担いで早速町に出てみる事にした。
この町は教会がたくさんあってその周りには必ずと言っていいほど落葉樹が立っていた。
オレはあてもないまましばらく1人で散歩を楽しんだ。
そこには今まで散々見てきたアボリジナルアート(先住民の絵など)が多く展示されていてもうええっちゅうねん!!とか思いながら観ていると途中でバスで一緒だった日本人の女の人に会った。
オレが「なんかおもしろいのあった?」と聞くと「まあタダだからねえ。」と納得の答えを返した。
彼女はここからアデレードを経由して彼に会いに西のパースに行くと言った。
「ない!!」と更に彼女。
なんて言うかさー長いこと離れてると自分の事。彼女の事。よく分からなくなる
・・・・こんな事良く知らない君に話すのも変だけどね。」
やっぱり長く離れてると女だって寂しいし不安になるもん。」
心配したって何もいいことないでしょ?そんな事詮索して重荷にはなりたくないしね。とにかく状況がどうなろうと”私たちは心配ない”って信じる事よ。」
「旅初日で”さっそくワナに(9872)ハマるオヤジ”と覚えとけえー!!」
「そうよ。だって恋してるもん。」と嬉しそうに微笑んで彼女は町に消えていった。
彼女が言っていた事を考えていた。
今は自分を信じて前に進むしかない。旅を楽しもう。
と気分良く近くの公園を歩き始めた。
いきなり黒い白鳥???に遭遇した。
わーい!!黒い鳥だあ。縁起いいーーー!!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」良い事起こりそうな予感はあっという間に消えていった。
悪い黒鳥は答え・・・る訳ない。
そしてまたあてもなく1人で町を散歩した。
場所も目的も決めず1人で歩く並木道はとても贅沢な時間に思えた。
何で教会や冬の木がこんなにも気分を落ち着かせるのか分からなかったけどなぜかこういう空気は1人だからこそ落ち着くんだと思った。
なんか孤独の世界に入ってく感じだ。・・・・・危ねーな・・・
その日の晩に40¢ビリヤードをやって仲良くなったノルウェー人に”グレートオーシャンロード”というツアーについて色々聞いてるうちにオレにとって一石二鳥のツアーだと思い早速次のツアーの申し込みをした。
オレは次の町のアデレードから大陸横断世界最長列車”インディアンパシフィック号”に乗ってパースに向かう事になっていてメルボルンからはバスでアデレードに向かう予定だったが変更した。
そして絶景と噂される”グレートオーシャンロード”のツアーを経由してアデレードに入ろうと思った。
というのもオレが使っているキロバスというのは”何キロまではいくら”というシステムなのでオレは最初に予定していた最終目的地北のダーウィンまでの距離分までしかチケットを買っていなかった。
だけど結局最後にダーウィンからホームステイファミリーの住むブリスベンまで戻る事に決めたので不足分の距離をバスとは別に稼ぐ必要があった。
そういう意味でもこの”メルボルン出発~グレートオーシャンロード~アデレード着”というツアーは最適だと思った。
つまりはメルボルン~アデレードまでの距離分をダーウィンから先のバス移動に使えるという事だ。
運良く次の日の朝にそのツアーが取れた。
10人乗りくらいの小さなワゴンで名所を回るというものだった。1泊2日の旅だった。
そしてこの予定変更によってオレは驚くべき運命の悪戯に遭遇することとなる。